美味かったんだ。

『八重椿』という名前の焼酎に出会った。
麦と芋を混ぜてしまった、創造性豊かな伊豆大島の焼酎。サラサラとくせがなく飲みやすい。
先日の昼下がり、海の見える都会の公園で、酒飲みの男友達とあっけなく1本あけてしまった。

持参のクーラーBOXには大量の氷と追加の酒、さらにコップが入っていた。
気付けば周囲に知らない人達がいた。即席宴会場。
ジャージの上着をズボンに入れつつ、健康サンダル姿がみすぼらしい格好のおじさん、とても東証1部上場企業の部長さんには見えませんよ。
セレブな巻き髪でチワワを連れたお姉さん、とても築20年のアパート住まいで、なか卯でバイトしてるとは思えませんよ。
爽やかサラリーマン姿のおじさん、とても田舎に家族を残し、東京で1人ホームレス生活をしているとは思えませんよ。

一緒にいた友達も、実は誰もが知ってる海中のビックプロジェクトを成功させたヤツだ。
そして私は陽気に営業畑を歩いてきただけ。
汐留の酒屋で購入した『八重椿』は通常会話することのない5人に会話を与えた。