母の努力。

先日、仕事中に珍しく母親からメールがきた。

『てんほうがとといてます』

どうやら私宛に電報が届いている旨を言いたいらしい。戦前の人なので機械には滅法弱い。
恐らく、この1文を打って送信するのに1時間はかかっていたんだと思う。
それにしても、漢字変換ができなかったのはしょうがないとしても、1文字だけ濁音を打てたのは何故なんだろう?
「が」が打てたのなら「で」と「ぽ」と「ど」も打てたハズだ。
帰宅してから送信フォルダを見た。未送信フォルダに練習したと思われる、同一内容のメールがあった。
『電法か届いでます』
ニアピン!漢字変換できるんじゃない。濁音打てるんじゃない。何故、こっちの文を送信しなかったのか?
夕食後、居間で梨を食べながら母に携帯電話の操作方法を教える。老眼鏡をかけながら、ややテンション高めに「うん、うん」とレクチャーを受けている。
ここ最近、会社近くの友達の家に泊まりに行くことが多く、自宅でのんびり両親と過ごす時間がなかった。
携帯の使い方を習う母。横で犬の毛づくろいをしている父。
一家団欒。
母の作戦成功。年甲斐も無く可愛く笑った。
団欒の時間を設ける為のメールだったみたいだ。どへたなメールを送ると、私が「そうじゃないよ」と教える為に自宅に帰ってくる。表立って自分の感情を出さない人なだけにいろいろ対策を練って努力した結果のようだ。
少々の反省。給料日前なのに両親を外食に連れて行った。